書込み、問題とソリューション

デジタル製品製造の際にそのコアとなるプログラムやデータはその製造工程の中で各種のROM-マイコン内蔵Flashメモリ、シリアルFlashやNORFlash、あるいは、大容量eMMC/UFSへの書込みを行わなければなりません。

各種Flashへの書込みについては、新規のFlash部品の採用、ハードウェア/ソフトウェア改版の度ごとに「技術的」、「製造コスト的」、「時間的」な問題が常に発生しています。

本サイトでは、多くのお客様で日常的に起こっている典型的な問題点と対処の方法論、具体的なソリューション事例について順次ご紹介いたします。

書込み装置自身よりコストのかかるアダプタ - トータルコスト低減へのチャレンジ

書込み工程に自動書込み装置を導入する際に重要となることは投資対効果と品質の担保(品質管理)です。本ページでは投資対効果、コスト低減方法について説明します。

投資については、関連するコスト要因を全て把握する必要があります。コスト要因として装置コストのみならず消耗品(主にソケットアダプタ)、メンテナンスといった間接コストがより大きな比重を占めていることがわかっています。書込み装置で対応すべきデバイスの種類により各々の要因の比重が大きく異なりますのでマイコンやシリアルFlashなどの「小型/小容量デバイス」とUFS/eMMCに代表される「大容量デバイス」の各々について主要なコスト要因とそれらを低減するための方法論について以下に説明します。

「小型/小容量デバイス」
このタイプのデバイスでは、1デバイスあたりの容量が少ないため書き込みに掛かる時間は短時間です。(例:PVで60秒。16ソケット同時書込みの場合、960個/時生産できます。) この場合、コストアップの要因は、消耗品であるソケットアダプタの寿命です。リードタイプデバイス用のソケットアダプタの一般的な寿命は1万回で、価格は1ソケットアダプタあたり5万円前後です。1デバイス製造する際のソケットアダプタコストは5円となります。
一方自動書込み装置のデバイス1個あたりのコストは以下例の計算で約1.3円となり、デバイス1個あたりでコスト要因としてはソケットアダプタが装置に比べ遥かに大きいことがわかります。
・デバイス1個あたりの装置コスト= \30M / (700個 x 20時間 x 20日 x 12カ月x 7年稼働) = \1.3/デバイス
 (前提条件:装置費用は\30M、装置は7年償却、装置稼働は、20時間/日、20日/月。生産個数を700個/時とする。)
結論:装置および消耗品を含むトータルなコストの中で支配的なコスト要因は、ソケットアダプタになります。Data I/O製のプログラマでは高寿命のアダプタやソケットのみ交換可能タイプアダプタの提供をしており、圧倒的なソケットアダプタのコスト低減方法を提供しております。

「大容量デバイス」
数十、数百GB容量のUFS/eMMCでは、その容量からPV時間が数十分、数時間掛かり自動プログラミング装置においては、書込みエンジンのソケット内で留まっている時間が長く搬送ロボットがほとんど稼働しない状況となります。この場合、必要な生産量を得るためには、以下性能のいずれか、あるいは組み合わせが必要となります。

1. 書込みエンジン速度の向上(数MB/s → >100MB/s)
2. 自動プログラミングシステム搭載の同時書込みソケット数の増加(16ソケット → >100ソケット)
3. 1システム搭載のソケット数の拡張ができなければ、装置の数を追加
結論:設備の投資対効果を上げるためには、上記1.2.の要求に対応可能な新たな高速書込みエンジン、多数ソケット搭載可能な自動プログラミング装置が必要となります。
Data I/O社製「PSV7000」では、書込み速度最高160MB/s(従来エンジンでは<10MB/s)を達成したLumenXエンジンを搭載でき、また、その搭載可能最大数は14ユニット(1ユニットあたりeMMCを同時8個書込み可能なので、PSV7000システム1台で最大112個まで同時書込み)まで搭載でき、大容量デバイスに対して複数台の大型書込み装置を導入することなく、1台で十分な生産性能を提供することで、結果として高い投資対効果を得ることができます。

デバイス書込み時間の短縮 - 生産性向上へのチャレンジ


Flashマイコンも高機能化により搭載Flashサイズも増加の一途をたどり8MB超と肥大化しており、eMMCやUFSにおいては既に256GB製品が出荷されている状況です。これら製品に事前に書込むプログラムやコンテンツ量が増加すると製品製造段階でこれらデータをFlashメモリに書込みする時間が製品生産能力のボトルネックとなります。

オンボード書込み手法では、ラインのタクト時間が満たせず、オフラインのデバイス書込みにしてもその装置の書込み対応速度の高速化の要望が高まる一方です。

ことFlashメモリの書込みについては、Flashメモリの性格上ファイルシステムと同様ブロックで管理されています。多数あるFlashメモリ内のブロック各々に対して書込み対象イメージのデータ種類毎(ブート、カーネル、環境変数、ファイルシステム等々)に飛び飛びのブロックに格納されそれら塊の間には多くのブランクブロックが存在します。書込み対象データの先頭アドレスと最終アドレスの間には巨大な空間(例えば256GBのメモリ容量に対して150GB程度の空間)がありますが、各ブロックの塊の間に大きなブランク領域が存在し、データ実体のある空間は先頭/最終アドレス空間容量の1/3-1/4であることが大半です。

データの実体があるブロックと無いブロックを管理し、実体のあるブロック部分のみを書込みツールないで転送、デバイスへの書込みとすることができれば「装置へのデータのダウンロー時間」と「装置からデバイスへの書込み時間」を前出の例で考えれば各々1/3-1/4の時間で行うことができ、書込み速度の高速化と並列して大幅な生産性向上をはかることができます。

Data I/O社書込みツールでは上記の実体データ部分をスキャンし装置内では実体部分のみの処理を自動で行う仕組みを(データイメージの各段階での処理イメージは上図を参照。)標準で持っており無駄なく圧倒的な高生産性を提供しています。

 

 

🔼 Topに戻る